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広島高等裁判所 昭和46年(行コ)7号 判決 1974年1月29日

広島市福島町二丁目一二番一号

控訴人

株式会社広島タクシー

同市月見町二一二九番地の五

控訴人

株式会社ときわタクシー

(有限会社ときわタクシーを組織変更)

右両名代表者代表取締役

小野正夫

右両名訴訟代理人弁護士

鈴木惣三郎

秋山光明

神田昭二

同市上八丁堀三番一九号

被控訴人

広島東税務署長

多田慶二

右指定代理人

菅野由喜子

松下能英

戸田由己

水平栄一

右当事者間の法人税審査裁決等取消同更正決定取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人が控訴人株式会社広島タクシーという。)に対し昭和三九年六月二九日付でなした、昭和三六年四月一日から昭和三七年三月三一日までの事業年度分法人税について総所得金額七七、五三一、〇五九円とした再更正処分のうち、金五四、二六二、五九一円を超える部分は、これを取消す。被控訴人が控訴人株式会社ときわタクシー(以下控訴人ときわタクシーという。)に対し昭和三九年六月二九日付でなした、昭和三六年四月一日から昭和三七年三月三一日までの事業年度分法人税について総所得金額を一九、九六四、七一二円とした更正処分は、これを取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、主文同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張と証拠の関係は、控訴代理人において、甲第一四ないし第二七号証を提出し、当審証人福永正美、若槻虎雄、長谷川良夫の各証言及び当審における控訴人ら代表者本人尋問の結果を援用し、乙第一三ないし第一六号証、第一七号証の一、二の成立を認め、被控訴代理人において、乙第一三ないし第一六号証、第一七号証の一、二を提出し、甲第一四ないし第二七号証の原本の存在及び成立を認めたほかは、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。ただし、原判決四枚目裏六行目に「一五〇万円」とあるのを「一五万円」と訂正する。

理由

当裁判所は、原審と同じく、控訴人らの本件請求をすべて失当であると判定した。その理由は、次の一、二、三のとおり附加訂正するほかは、原判決理由のとおりであるから、これを引用する。

一、原判決理由欄一(四)冒頭に「成立に争いのない」とある前に、「成立に争いがない乙第八号証の二、当審証人長谷川良夫の証言並びに弁論の全趣旨によれば、控訴人広島タクシーは、昭和三六年三月一〇日、当時有限会社であつた控訴人ときわタクシーの出資持分全部を、タクシーの営業権(車両ナンバー権)を一台当り二〇〇万円と評価して買受けたことが認められる。」と挿入し、同三行目(原判決九枚目裏六行目)に「及び」とある前に「、第一三ないし第一六号証」と、同四行目に「亀良」及び「同長谷川良夫」とある次にいずれも「(一部)」と挿入し、同七行目に「表面上」とあるのを削除し、原判決一〇枚目表一行目に「にあるとされているが、実質上の理由は」とあるのを「ものであつたが、そのほか、以下に述べる理由もあつたこと、即ち、」と訂正し、同枚目裏一一行目に「乙第七号証」とある次に「、原審証人川村亀良、原審及び当審証人長谷川良夫の各供述部分」と挿入し、同一一枚目裏一〇行目に「更生」とあるのを「更正」と訂正する。

二、原判決理由欄一の末尾に、「本件減車及び増車の当時控訴人広島タクシーの認可台数が二〇三台あつたこと、そのうち訴外有限会社 中央タクシーから取得した認可車両数が六台であつたことは当事者間に争いがない。成立に争いがない乙第八号証の一、二、三によれば、控訴人広島タクシーは、昭和三五年一二月、右六台分の営業権を一台当り代金二〇〇万円で譲受けた事実が認められる。してみると、控訴人広島タクシーは、右六台分の営業権のうち一台分を控訴人ときわタクシーに譲渡したものと推認される(その算式は次のとおりである。)。

<省略>

そうだとすれば、先に認定した寄付金額から二〇〇万円を減算すべきである。また、弁論の全趣旨によれば、控訴人広島タクシーは、本件事業年度における右一台分の営業権の減価償却を法定の償却範囲額一六万六、六六六円(その算式は次のとおりである。なお、法人税法施行規則(昭和二二年大蔵省令第三〇号)第二一条第一項第八号、第二一条の二第一項、第二一条の三第一項第四項、固定資産の耐用年数等に関する省令(昭和二六年大蔵省令第五〇号)参照)を超えて計上したことが認められる。

(取得価額)÷(耐用年数)×(本件譲渡までに経過した本件事業年度中の月数)÷12(本件事業年度中の月数)=2,000,000(円)÷10(年)×10(月)÷12(月)=166,666(円) してみると、

右のとおり損金として認定した一台分の営業権の減価償却額のうち金一五万円の損金計算を否認したことは、違法とはいえない。よつて、被控訴人の控訴人広島タクシーに対する本件再更正処分には違法はない。」と挿入し、原判決一二枚目表二行目に「たこと」とある次に「、控訴人ときわタクシーは、本件事業年度の所得について、原判決別表三記載のとおり(ただし、(二)(4)および(四)を除く。)申告欠損金額、益金加算額及び繰越欠損金控除額があつたこと」を挿入し、同一二行目に「二六〇〇万円」とある次に「から旧法人税法施行規則(昭和二二年大蔵省令第三〇号)第二一条第一項、第二一条の三第一項第四項等の規定に基づく減価償却額を控除した額」と挿入する。

三、なお、「当審において新たに取調べた証拠によつても、原審のなした事実認定(ただしこの判決で附加訂正した部分を含む)を左右することはできない。」と附加する。

そうすると、本件控訴は失当として棄却すべきであるから、訴訟費用の負担について、民事訴訟法第九五条、第八九条、第九三条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 宮田信夫 裁判官 弓削孟 裁判官 野田股稔)

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